2011年11月23日、勤労感謝の日に、宮城県・鳴子温泉郷の中山平温泉の「名湯秘湯うなぎ湯の宿 琢琇(たくひで)」にて、温泉ソムリエ認定セミナーを行った。
我が「貸切温泉どっとこむ」(温泉コム株式会社)企画のイベントだったが、お陰様で、大盛況で幕を閉じた。
そもそも、このイベントを思い立ったのは、私が昨年、Twitterが縁で、温泉ソムリエ家元の遠間和広君と、なんと25年ぶりぐらいに再会を果たした事に始まる。
お互いの仕事の話をしているうちに、温泉ソムリエのテキストの中で「美肌の湯4大条件」を紹介していると聞き、それは鳴子の「琢琇」なら、すべて揃っている泉質だよね・・・という事になり、さらには、私が「琢琇」の記事を「貸切温泉どっとこむ」で書き、公式HPも我が社が運営している事もあり、トントン拍子に実現へと向かった。
私がまだ20代前半で、東京・渋谷でオフィスを構えて間もない頃、当時学生だった遠間君が、弊社社員と友人だった事もあり、ちょくちょく顔を出していた事が、そもそも、私と彼の最初の出会い。
その頃の私は、販売促進系の広告代理店を経営していた。
それが、25年後に、仕事の中身は違えども、温泉をテーマに仕事をしているところに、運命的なものを感じたのも確か。
私は、20歳前後から温泉に傾倒し、その後、仕事として温泉宿の記事などを書くうちに、いつの間にか温泉そのものに詳しくなり、さらに自然と温泉分析表も読めるようになり、そのデータだけで、どんな特徴の温泉かある程度分かるようになった。
それと同時に、温泉もいっそう好きになっていったような気もする。
遠間君が行っている、温泉ソムリエのセミナーの中身は、簡単に紹介すると、温泉の条件から始まり、種類と特徴、入浴法、そして、最後に温泉分析表の読み方まで教えてくれる。
ざっと3時間ほどの授業だが、三部構成にして、分かりやすく、丁寧に教えている姿が印象的だった。
普段、このセミナーは東京など中心に、大都市圏で行っているのが通例らしいが、温泉旅館、しかも東北地区で実施するのは、初めてという事もあり、さらに宮城県鳴子温泉郷といった、お世辞にも交通の便が良くない立地で、よくぞここまで受講者が集まってくれたと少々驚いている。
それも、遠間君が2002年から立ち上げた温泉ソムリエが、新潟県妙高赤倉温泉から全国へ知名度を上げ、取材者やライターなどを数多く輩出し、最近ではタレントや女優まで認定者がいるという人気の高さも大きく貢献しているだろう。
「貸切温泉どっとこむ」や「琢琇」の公式HPなどからの告知も行ったが、受講者がやはり「温泉が好き」という事が、今回のセミナーの成功の背景となっている。
温泉が好きだから、温泉の事をもっとよく知りたい・・・こんな考えを持っている人たちが、数多くいるという事に、改めて私自身、素直に喜びを感じた。
しかし、このイベントを、実現に向けて、大きく私を動かしたのは、皆さんご存知の通り、3月11日の東日本大震災。
この「琢琇」も、建物のあちこちに損傷を受け、名物の混浴露天風呂は湯舟自体にヒビが入り、崖の上の立地という事もあり、今後は壊す方向で考えているとの事。
さらに、数本ある自家源泉の一本が、震災を機にお湯が出なくなったのも、大きな痛手だった。
私自身、福島出身という事もあり、震災後、温泉宿を助けるための行動をしてきたつもりだが、昨年から企画してきたこの温泉ソムリエ認定セミナーの目的としては、東北復興の願いも加わった形となった。
私は「琢琇」の湯を常々、「奇跡の湯」と称している。
前述の通り、美肌の湯の4大条件である・・・
① ツルツルスベスベ肌になる炭酸水素塩泉
② 肌のハリとシワに効果的な硫酸塩泉
③ 美白効果の硫黄泉
④ 肌の角質を溶かす(弱)アルカリ性の温泉
・・・がすべて揃っている泉質であるから。
「琢琇」の主要な源泉の泉質名は、「含硫黄-ナトリウム-炭酸水素塩・硫酸塩泉」。
pHも9を超える。
もちろん、源泉100%かけ流し方式。
初めての人は、トロトロのあんかけのような湯の肌触りに驚くに違いない。
この極上の湯を、この時期に、この場所で、温泉ソムリエセミナーを通して、大きくPRできた意義は大きい。
何よりも、「琢琇」の女将、佐々木久子さんが、大変喜んでくれた事が、こちらとしても嬉しい限り。
ここ鳴子で誕生した温泉ソムリエの皆さんが、これを機に「琢琇」の温泉の素晴らしさを多方面で紹介していただき、そして東北、いや全国の温泉の素晴らしさを、自らの方法で知らしめていただくことを願うばかりである。
■名湯秘湯うなぎ湯の宿 琢琇/宮城県・鳴子温泉郷・中山平温泉