移動手段が主役の旅はいかが?

通常、旅をする場合、目的地を決める。
それから、移動手段を決めるのが通例だろう。
クルマを持っている人なら、高速道路。
持っていない人なら、JRなど公共の乗り物。
遠距離なら、飛行機。
・・・と、こんな感じ。

でも、旅の醍醐味は、目的地以上に、そこにアプローチする過程が面白い。
計算通りにいかないところが多々あるのが移動の時。
そこには、思いもよらないトラブルや手違いがあるかもしれない。
それを乗り越えての目的地到着。
ある意味、達成感まで抱く場合もあり。
ふだん、クルマばかりの移動の人が電車を使ったり、クルマを持っていない人がレンタカーで旅に出るのも面白い。

東日本大震災がおきる直前にデビューした東北新幹線、東京~新青森間のE5系「はやぶさ」をご存じだろうか?
そこには、グリーン車の上をいく、「グランクラス」というシートがある。
普通車両が3列+2例のシートに対し、グリーン車両は、2列+2列。
「グランクラス」は、2列+1列のゆったりとした配列。
JR東日本曰く、“新幹線初のファーストクラス登場”らしい。
本革シートは、リクライニング角度が45度で、しかも電動式なのだ。
専任のアテンダントによる、お好みの時間に軽食も提供もある。
ただ、欠点が皮肉にもその車両の速度。
3時間ちょっとで終点なのだ。
こんないいシートなら、もう数時間身を委ねたいのに・・・。

全国の都市間を運行している、高速バスの進化も凄いことになっている。
女性専用シートには、イオン発生器や、足のむくみを取るマッサージ器を搭載しているのもある。
従来よりもシート間隔を広げたり、映画が楽しめるプライベートモニター付きの車両がどんどん増えている。

時間に余裕がある方なら、これからはフェリーもお勧めだ。
高速道路1000円キャンペーンの余波で、多くのフェリー便が消滅してしまったが、それでも面白い便がたくさん残っている。
フェリーのいいところは、クルマを遠くまで持って行けるところ。
クルマで行くから、荷物も多めに持って行ける。
例えば、東京から九州へ行く場合。
私が仕事柄、よく取材で使うルートは、大阪まで車で行き、そこから夜にフェリーに乗って、早朝に別府(大分)に付く瀬戸内海航路。
フェリー内には、大浴場やレストランも用意され、快適に過ごせる。
個室もバリエーションがあり、まさに、海を移動するホテルだ。
途中、神戸の夜景や、明石大橋や瀬戸大橋をくぐるのも楽しい船内イベント。
内海ルートなので揺れないのもいい。
疲れを充分に取って、九州上陸というわけだ。

私は、北海道に行く場合、仙台まで車で走って、そこからフェリーに(夜に)乗り込み、翌朝に苫小牧に付くというルートをよく利用する。
この航路には、瀬戸内海のフェリー(さんふらわあ)より、さらに上のクラスの大型フェリー(太平洋フェリーの“いしかり”や“きそ”)が用意されている。
その船には、ショーや、映画が楽しめる劇場まである。
個室も快適で、予算に応じてクラスを選べる。

ご夫婦2人で旅をするなら、寝台車は郷愁を誘う。
首都圏から北海道への旅行をお考えなら、JR東日本の「カシオペア」は是非体験してほしい。
前の世代の「北斗星」とは、別次元の快適さがある。揺れも少ない。
そして、最後尾のロイヤルスイートは今でも垂涎のプラチナチケットだが、「カシオペアツイン」に関しては、非常に予約が取りやすい。
なにしろ、「カシオペア」は全室個室。
しかも、一番多い部屋タイプの「カシオペアツイン」はたしか80室前後あるはず。
トップシーズン以外なら、1ヶ月前なら余裕で予約できる。
狭さは感じるが、トイレ、洗面所付き。
もちろん、レストランではフレンチや懐石料理のコースが楽しめる。
圧巻は、青函トンネルを抜けての早朝の北海道。
噴火湾の眺望を楽しみながら朝食をいただける。

・・・いかがだろうか。
こんな事を書いていると、私はまだ旅がしたくなる(笑)。
しかし、改めてニッポンは、交通インフラが整っている事に気付く。
選択の幅が広い。
だからこそ、この環境をフルに使って、旅を楽しんでいただきたいのだ。

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