私の事務所は、東京・渋谷にある。
周辺は、丸の内や新宿のように、大きなビルが建ち並ぶわけでなく、いわゆる雑居ビルが犇めきあっている。
そんな街を歩いていると、1階には外食チェーンやコンビニなどお店が多いのが目立つが、2階以上に目を移すと、驚くほどマッサージ屋さんが多いのに驚く。
パソコン必須のこの世の中、IT疲れというか、現代病とも言える、肩こり、腰痛など、症状を訴える人が多いのは確か。
その証拠に、駅前の雑居ビルには、ほとんど、マッサージ関連のお店が入っている。
私も、そんなお店によく通っていた時期があった。
しかし、仕事柄、温泉に浸かる事が増えると、少しずつマッサージ屋さんに通う回数も減っていった。
温泉には、間違いなく効能がある。
まず、「物理的効果」というものから説明すると、「温熱」、「水圧」、「浮力」の3項目。
「温熱」は、カラダを温める事で、新陳代謝もよくなり、免疫力もアップさせる。筋肉などの緊張も解いてくれる。
「水圧」は、カラダ全体に圧力がかかり、いわゆる天然のマッサージとなる。湯に浸かると、足など下半身の血液が、水圧のかかりにくい胸部や心臓などに集まり、結果、血行を促進させ、心臓の負担を減らす。
「浮力」は、湯にカラダを首まで浸かると、体重は十分の一となる。よって、腰や膝などの関節部分への負担も軽くなる。
次に「化学的効果」。
温泉に浸かり、皮膚から温泉成分を吸収することによって得られる効果がそれ。
いわゆる、泉質によって違う適応症のこと。
そして「心理的効果」。
日常から離れ、山や海が見える温泉地に赴き、生活を変えるだけで、精神的にリラックスできる。
これは、五感を刺激することにより、自律神経のバランスを整え、精神的疲労、肉体的疲労を軽減させてくれる。
「転地効果」とも言われるものだ。
最近、「湯治」が見直されている。
数週間、自炊で温泉宿に泊まるのでなく、食事付きで、しかも2泊3日、3泊4日程度の、いわゆる「プチ湯治」とか「ミニ湯治」とか言われているものが、少しずつ支持を増やしているという。
観光や息抜き目的で、温泉旅行をするのではなく、ココロとカラダの疲れを取りに温泉に行くというのも、現代人にとって必要な気がする。
毎週、毎日にように、街のマッサージ屋さんに行くお金があるのであれば、ぜひ「プチ湯治」を試してほしい。
そう、泊まりがけの人間ドックに行く感覚で・・・。