ウィキペディアで、旅行代理店の事を、こんな風に解説していた。
・・・交通・宿泊その他の旅行商品を「仲介(あるいは自社で企画・催行)して販売する」会社のこと。ツーリストビューローやトラベルエージェンシーの他、近年では旅行会社(りょこうがいしゃ)とも呼ばれる。
「仲介して販売」とあった。
それでは、じゃらんnet(リクルート)や、楽天トラベルなどネット予約サイトで行われている、「宿泊施設名で検索連動型広告(アドワーズ広告など)を出稿し、直接予約の客を奪い、自社サイトへ誘導し、宿泊施設側から10%の手数料を取る」のは、果たして「仲介して販売」なのか?
いや、違う。
「仲介して販売」ではなく、正確には「(直接予約の客を)横取りして販売」なのである。
もちろん、すべての事には当てはまらない。
しかし、一般的に、その宿泊施設の公式HPにアクセスする際、施設名で検索する率が9割を超えている事を彼らは知っていて、だからこそ有料の検索連動型広告を出している。
それは、すでにじゃらんnetや楽天トラベルが、自社TOPページからの予約成約数が限界に達している証拠。
だから、わざわざお金をかけて検索連動型広告を出しているのだ。
そんな予約サイトの被害から、温泉旅館を守っているのが、私の数ある仕事のひとつ。(これを被害と思っていない施設が多いのが現状であり、私にとっては驚き)
しかし、上手にじゃらんnetや楽天トラベルを利用し、直接予約を逆に増やしているツワモノ旅館が、最近よく見かけるようになった。
例えば、こんな手法。
予約サイト内で、別途料金を支払い、宿名が目立つように表示し、誘導する。
予約サイトから、宿の公式HPへは直接リンクしていないが、大体の場合、その宿に興味を持てば、新たに宿名検索をかける。
そして、公式HPに、予約サイトより直接予約の方がお得だと告知し、自らの宿公式HPの予約ページに引き込む戦略。
または、予約サイトからの客相手には、帰りのチェックアウトの際に、次回、大幅な値引きをする割引券を渡し、次回の直接予約を促す。
・・・など、様々な努力をしている宿が増えてきた。
いい事である。
今、我が国ニッポンは、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)に、参加するかしないかで議論が活発である。
ある業界ではメリットがあるが、一方の業界ではデメリットがある。
宿泊施設は、予約サイトに参加してメリットもあるだろうが、デメリットもあるという事。
つまりは、時代がクロスオーバーしているのだ。
だから、宿泊施設側は、おとなしく、大手予約サイトの言いなりになってはいけないのだ。
逆に利用して、直予約を増やそうとの意識が大事なのだ。
本当は、予約サイトとは付き合わないで、すべて賄えればいいのだが・・・。
でも、公式HPで集客している宿は、少なからずあるのです。
最後に、参考までに。
よく旅館ホテル経営者向けのセミナーを主催したり、コンサルタントをしている人がいるが、その会社、もしくは代表者のルーツが、旅行会社だったら、要注意。
セミナーのタイトルに「直接予約を増やす」なんて事が書いてあっても信じられない。
彼らの深層心理は、予約サイト、旅行会社抱き合わせの戦略しかないのだから。
このネット全盛の時代に・・・。