JR東日本のCM。
「大人の休日倶楽部」鳴子編にて、吉永小百合さんが、「日本にある11種のうち、9種の泉質が揃うという鳴子温泉郷」・・・とナレーション。
ん?
たしか、以前、私の取材した記憶だと、ひとつ少ない8種類のはず!
鳴子温泉旅館組合のホームページをチェックしてみた。
すると、こう書いてあった。
※( )内は、新泉質名。
① 単純温泉(単純温泉)
② 重炭酸土類泉(炭酸水素塩泉)
③ 重曹泉(炭酸水素塩泉)
④ 食塩泉(塩化物泉)
⑤ 芒硝泉・石膏泉(硫酸塩泉)
⑥ 明礬泉(硫酸塩泉)
⑦ 緑礬泉(鉄泉)
⑧ 硫黄泉・硫化水素泉(硫黄泉)
⑨ 酸性泉(酸性泉)
なるほど。
CMでは、「旧泉質名」で、9種類と言っているわけだ。
実際、現在では、掲示用泉質名(新泉質名)と呼ばれるものが一般的であるが、それは下記の通り、11種類に分けられている。
① 単純温泉
② 二酸化炭素泉(単純炭酸泉)
③ 炭酸水素塩泉
④ 塩化物泉
⑤ 硫酸塩泉
⑥ 含鉄泉(緑礬泉など)
⑦ 含アルミニウム泉(含明礬・緑礬泉など)
⑧ 含銅-鉄泉(含銅・酸性緑礬泉など)
⑨ 硫黄泉
⑩ 酸性泉
⑪ 放射能泉
この分類でいけば、鳴子温泉郷の泉質は、②二酸化炭素泉、⑧含銅-鉄泉、⑨放射能泉・・・の3つが不足している。
つまり、新泉質名で言えば、鳴子温泉郷は、9種類ではなく、8種類が正解というわけ。
しかし、未だに、旧泉質名を併用して掲示している温泉地が多いのも事実。
それよりも、「温泉のデパート」という別称があるぐらい、泉質はもちろん、湯量が豊富な鳴子温泉郷。
9種類だろうが、8種類だろうが、鳴子温泉郷は、日本の温泉地では横綱クラスのランクである事は間違いない。
もともと11種類に大別したのも、人間が分かりやすく理解するためのもの。
成分が基準値まで届かず、泉質名の付かない温泉も存在するし・・・。
実際は、温泉地、いや、源泉井戸ごとに、泉質は違っている。
さまざまな成分が入り混じっているから、源泉ごとに泉質は微妙に違っているというわけだ。
国内には、およそ27,000本の源泉があると言われている。
厳密に言えば、すべて違う泉質という事なのだろう。