温泉宿に「露天風呂付き客室」が誕生して、今や定番化した。
高級旅館には、おなじみの、そして当たり前の施設となった。
その客室に専用の露天風呂が備わったのは、鹿児島県・妙見温泉の「忘れの里 雅叙苑」が発祥とされる。
今から35年前、昭和53年(1978年)のことだ。
この年は、当時日本一の高層ビル、サンシャイン60が東京・池袋に完成、キャンディーズが解散、サザンオールスターズがデビュー、NHKで宮崎駿監督の「未来少年コナン」の放送開始、そしてプロ野球では、江川卓のいわゆる「空白の一日」のあった年であった。
ご存知の通り、この「露天風呂付き客室」というスタイルが、その後、旅館業界に大きな影響を及ぼす事になったのは言うまでもない。
その“発明者”が、田島建夫さん、昭和20年生まれ。
古くからある湯治旅館の跡取りだった人。
人と同じ事をする事が“苦手”な、感性の塊みたいな方でもある。
田島社長が発明したのは「露天風呂付き客室」だけではない。
茅葺き屋根の古民家を移築して客室にしたり、大きな岩をくり抜いて湯舟にしたり・・・など、最近、田舎(ローカル)を標榜する温泉旅館には、当たり前の施設、インフラを初めて具現化したのが彼だった。
当然のように、マスコミに取り上げられ、同業者の視察が相次いだ。
そして、全国に「雅叙苑もどき」の宿が次々に誕生していった。
実際、私が「貸切温泉どっとこむ」の取材の打診で宿を訪れる際、少し宿の様子を見学させてもらうと、すぐにどこの宿の影響を受けたかが分かる。
その宿の主人が、当サイトに「雅叙苑」が掲載されている事を知ると、すかさず取材を断るという事が多々あった。
私に「マネをした」と書かれるのが怖いのだろうか。
さて、現在の「雅叙苑」は、どうなっているかというと、ここ10年である変化が起きている。
リニューアルと言っては簡単だが、それは単なる改装ではないような気がする。
せっかく作った露天風呂付き客室を、田島社長曰く「お風呂リビング」と呼ばれるスタイルに、生まれ変わらせているのだ。
湯舟はそのままなのだが、洗い場周辺が温泉パイプを埋め込んで床暖房。
露天風呂テラスの空間に屋根を付け、壁に窓を配置し、・・・つまりは、屋根のない客室露天風呂スペースも、客室にしてしまったのだ。
その空間には、エアコンもある。
そしてテーブルやソファーもある。
つまり・・・リビングの真ん中にお風呂があるというイメージなのだ。
そんな、カリスマ的温泉宿で、わが「貸切温泉どっとこむ」主催の「温泉ソムリエ認定セミナー」を2013年6月29日(土)~30日(日)で開催することになった。
温泉ソムリエは、温泉分析表の見方から、温泉そのものを理解し、より一層温泉浴の楽しさを体感できる資格。
その認定セミナーの後は、夕食会、そして翌日には、世界に名だたるオンリーワンリゾート「天空の森」にて、田島社長のトークイベントも行う予定。
詳しくは、「忘れの里 雅叙苑」「天空の森」の公式HPを参照してください。
ちなみに、宿泊場所は、この2軒だけでなく、リーズナブルな湯治旅館「田島本館」も選べます。
伝統的な湯治旅館「田島本館」から、薩摩の昔をテーマにした「忘れの里 雅叙苑」。
そして世界中のVIPが訪れる「天空の森」。
この3つの魅力を同時に触れながらの温泉ソムリエ認定セミナー、・・・絶対に面白いです!