私の子供時代、熱狂しながら観ていたテレビ番組があった。
いわゆるスポーツ根性もの、略してスポ根漫画の代表格「巨人の星」だ。
後にジャイアンツの投手となった星飛雄馬が主人公。
小さい頃から、父・一徹のスパルタ教育を受け、毎日野球の練習に明け暮れ、将来は巨人のエースになる事を夢みる飛雄馬の成長物語だ。
しかし、念願のプロ野球の、しかも巨人の投手になったのも束の間、速球は投げられるものの体格が小さいため「球質が軽い」=「打たれれば球が飛びやすい」という、肉体的というか、体質的というか、練習をしても改善できない「致命的な欠点」を突き詰められる。
そこで、飛雄馬が考えたのがいわゆる「魔球」。
変化球を覚える選択肢もあったが、それは中途半端な投手にはなれるかもしれないが、飛雄馬が目指すのはあくまでも「巨人の星」であり「巨人のエース」だった。
だからこそ、誰でも投げられない、そして打たれない魔球が必要だったのだ。
その名前が「大リーグボール」。
飛雄馬は、苦闘の末、1号から3号まで、実に3つの魔球を完成させた。
その時は、紛れもなく飛雄馬は「巨人の星」だった。
「球質が軽い」=「打たれれば球が飛びやすい」という事が無ければ、飛雄馬が体格に恵まれていれば、「大リーグボール」は生まれなかった。
つまり、現状に不満足だからこそ、生まれた魔球なのだ。
これは、私たちの生活のなか、ビジネスのなかでも考えられる事。
現状に満足していたら、そこで成長は止まり、後は、下降するばかり。
不満足こそ、成長の原動力とも言える。
私も、現状の不満足の中から、自分なりの「大リーグボール」を、現在開発中だ。
しかし、無理はいけない。
飛雄馬が考えた魔球の最終形「大リーグボール3号」を完成した後、それが原因で、まもなく彼の投手生命も終わり、最終回を迎える。