私は、何事もひたむきで、努力を惜しまない人が好きだ。
向上心というか、いつでも、精進を心掛けている人を尊敬する。
実際、そのような人と会うと、お話ししていても心地いいし、自分も浄化されていくというか、爽やかな気分になれる。
温泉宿も同じ。
色々細かい点を見れば、修正すべきところも見つかるかもしれないが、それ以上に一生懸命さが伝わる宿は、宿泊客にとって何事にも代えがたいありがたさを感じることができる。
愚直なまでに、こだわりを持ち、見せかけだけのアピールをしない、その潔さは、感動すら覚える。
しかし、残念ながら、そんな宿ばかりではない。
お客様のクチコミも評判がいいし、施設も、お客目線で使い勝手がいいように工夫されている。
でも、一般の人が気付かない裏の顔を持つ宿もある。
一番多いのが、いわゆる温泉偽装。
これは、古くからある温泉地によくある話。
源泉かけ流しと謳っていながら、実際は源泉量が少なく、循環を行っているところ。
そして、いわゆる業者いじめをする宿の経営者。
何かと、ミスや細かい点を見つけては、法外な値引きを迫ったり、取引停止を匂わしたり。
私の知っているフリーランスのWebデザイナーは、そんな宿にいつも翻弄されて、私に相談してきたことがあった。
聞けば、取引先の相手は誰でも知っている有名な温泉宿でクチコミもいい。
しかし、裏では、血も涙もない取引を迫ることがあるという。
そんな宿とは、付き合わなければいいじゃない?・・・と一般の人は思うだろうが、個人で、フリーで生業を営んでいるクリエイターにとっては、それは収入減を意味する。
営業力がない人にとっては死活問題なのだ。
私は、幸運にもあまりそういう宿とは、お付き合いは少なかったが、長く業界にいると、たまに裏の顔を持つ宿というか経営者に会うことがある。
しかし、私は、自分の性格上(笑)、決して屈しない。
「この業界で食えないようにしてやる」「いろんな宿に言いふらしてやる」などと、直接的な表現はしないにしろ、そのような事を匂わせる場合がある。
そのような宿の経営者は、フリーランスのカメラマンが撮った画像を無断使用したりする。
詐欺行為や著作権法違反などを平気で行う。
さらには、契約したホームページ制作費などの大幅値引きや、支払い遅延をしたりする。
業者が、自分に刃向かわないと、高をくくっているからである。
今はSNSの時代。世間に訴えればいい。
そして、法律違反を行っている宿は、怖がらずに告発すべきである。
様々なリスクを負って、貴重な時間と労力をかけて、そしてお金をかけて作ったものは、契約通りのお金をいただくべきなのだ。
クリエイティビティを理解しない宿とは、おさらばすればいい。
ひと昔前の話。
志しのある宿は、画家、小説家、書家、陶芸家などの若手のクリエイターに仕事を与え、育ててきた歴史がある。
それが今はデジタルの時代になり、業界も変わったが、そんな現代のクリエイターを大事に育てようとの風潮が少ないのが気になるところ。
私は、クリエイター側の人間だが、微力ながら、有能なクリエイターをサポートし、より健全な業界になるように、努力していこうと思っている。
そう、一生懸命に。