相変わらず、京都を代表とする有名観光地のインバウンドの吸引力は凄い。
ニッポンに初めて来る外国人旅行客にとっては、やはり定番どころの有名観光地をおさえたいのは、心情的によく分かる。
問題は、二度目以降の訪日旅行の場合。
次は、もう少しディープなニッポンを見たい、もっと田舎のリアルな生活風景を体感したい・・・と思ってくれたら・・・・・それは喜ばしいことである。
そこに、有名観光地を持たない温泉宿の未来があるからだ。
温泉は、日本人の国内旅行におけるド定番。
何かの記念日とか、ちょっとした休暇とかに温泉旅行は欠かせない。
年齢を重ねた人たちには、カラダのメンテナンスのための湯治という文化もある。
まさに、ニッポンのディープで、リアルな生活風景がそこに存在する。
業界でインバウンドのコンサルタントと名乗る人たちは、どちらかというと、メジャーなものの見方が大半だ。
業界誌や経済誌を読んでも、そういった無難な表現をする書き手が重宝される。
しかし、現実には、そういった記事や評論は、結果的に成功した事例を伝えているだけに過ぎない。
では、有名観光地が近くにない地域の温泉宿は、どうすれば生き残れるか・・・というテーマは、どちらかと言えば、マイナー的なマーケティングが必須で、例えれば、細かな処方箋が必要なのだ。
つまり、ホームページひとつとっても、大ざっぱな、どこの宿でも紹介しているやり方では、どこからも注目されず、埋没していく運命になることだ。
有名観光地を持っている宿の社長が、私に販促の相談をして、その答えとして、新しい提案をすると、このような返事が返ってくることが多い。
「それ、他のどこかでやっているの?」(他で成功例があるなら、やってみてもいいという意味)
有名観光地を持たないのに、繁盛している宿の社長は、大体がこう答える。
「それ、他のどこかでやっているの?」(他でやっていないなら、やってみてもいいという意味)
言い方は、同じでも、その意味は正反対なのは面白い。
つまり、有名観光地を持たない宿は、マイナーでもいいから、個性を前面に押し出し、キャラを立たせないと目立たないという事なのだ。
あまり集団から目立ちたくない、変わり者と呼ばれたくない日本人の性質からは難しいところだが、やはり商売、ビジネスともなると、目立たなくては、未来はないという事。
私は、幸運にも、そういったお宿さんとのお付き合いがほとんどだから、仕事が楽しい部分があるのは確か。
「変わり者」と呼ばれるのは、私にとって、最高の褒め言葉なのだ。