テレビ番組、特に情報番組やバラエティ番組で、日本の素晴らしさを外国旅行客や日本に暮している外国人に語らせ、結果、ニッポン礼賛をする傾向の番組作りが目立ってきた。
日本人のプライドを擽るようなその制作手法は、一般視聴者には受け入れられているからだろうか、どんどんそのような番組が増えているような気がする。
一方、外国人は、住んでいる環境が違うから、日本に来たら驚くものばかり・・・というのは、よく分かる。
私も、数は少ないが、海外に行くと、その生活環境や習慣に驚くことも多いからだ。
日本の伝統文化をそのまま伝える事ができる温泉旅館は、ある意味、外国人観光客にとって、コンパクトにパッケージされた実体験メディアのようでもある。
ところが、HotelとRyokanの区別のつかない初心者インバウンドは、夕食の時間までに宿に到着しないことが多いという。
夕食は18時と決められていても、18時過ぎでもOKと思い、平気で20時にチェックインして、いつでも夕食が食べられると勘違いしている客が多いと、複数の旅館経営者から聞いた。
Ryokanは、Hotelとは違い、1泊2食付きが基本であるという事。
しかも、夕食朝食とも時間が決められているという堅苦しさが、ニッポンに慣れていない外国人旅行客には不満を感じるかもしれないが、それも慣れると、美しいニッポン滞在の思い出となる。
海外の「習慣」にちょっとでも触れると、旅気分を味わえるからだ。
さらに、宿泊料金も、Hotelの部屋単位の予約に慣れている外国人には、Ryokanの料金スタイルに複雑さを感じる事もあると聞く。
つまり、Ryokanの料金システムは、和室の場合、1部屋2~6名様を定員とし、「一泊二食(夕食+朝食)付き、一人あたり」に基づいて計算されていて、一部屋に人数が多く泊まれば、その分一人あたりの宿泊料金が安くなるという事。
これらが、きちんと説明されているRyokanのホームページは、当然のことながら、外国人旅行客の予約も増えてくるだろう。
これらの事は一例だが、日本側の宿泊施設にとって、他にもインバウンド対策に用意すべき事はたくさんある。
それは、やはり日本人だけでは無理だろう。
外国人目線が絶対に必要になってくるからだ。
「日本の常識は世界の非常識」というフレーズが流行ったように、数々の日本人と外国人のギャップに目をつけ、それに対応するように心がけなければならない。
いま日本は夏という季節を迎えようとしている。
暑い夏には、アイスコーヒーが美味しいと感じる日本人は多いだろう。
しかし、そのアイスコーヒーが、日本が発祥だという事実を知っている人はどれだけいるだろうか?
やはり、ギャップは面白い。