首都圏に住んでいる人なら、手軽な一泊二日の旅であれば、関東周辺の温泉地や観光地を選ぶ人は多い。
三泊四日ぐらいの日程が取れれば、新幹線を利用して京都に行ったり、飛行機を使って北海道か九州・沖縄に旅する人もいるだろう。
海外旅行ともなれば、飛行機利用が、間違いなく圧倒的に多い。
いずれにせよ、目的地があって、そこに最短時間で移動したいのが、現代人の好みのようだ。
休暇を取る期間も少ないし、仕方がない。
でも、運よく、一週間でも休暇が取れるなら、いつもの最短時間で移動するのではなく、遠距離の目的地でも、クルマとフェリーを使った旅も是非体験してほしい。
この場合の旅の「目的地」は、旅程の一番遠い場所、つまり「折り返し地」という意味で、「目的地」だけでなく、移動中の立ち寄り先がすべて「目的地」となり、時間をゆったりと楽しむという旅となる。
北海道や九州なら、複数のフェリー航路が存在する。
船酔いが不安なら、北海道行きの場合、青森からフェリーに乗れば短い時間で済むし、九州なら瀬戸内海の航路なら、全くと言っていいほど揺れない。
フェリーで泊まって、朝には北海道や九州に着いている。
移動する時間を長くとれば、様々な新しい発見をすることが多い。これが、けっこう楽しいのだ。
フェリーを使わずとも、クルマだけでも、最近は宿泊施設も多様化しているので、選択肢も多い。
クルマがあれば、何も宿泊先が人気観光地でなくてもいいのだ。
例えば、その人気観光地の手前の土地で、宿泊先を探すと、部屋も取りやすいし、何よりも安上がりになる場合も多い。
人気観光地でなくても、アメリカにあるような、ロードサイドのモーテルも最近増えているし、ビジネスホテルや旅館を探すのも楽しい。
最短時間で旅をすると「点」の楽しみしかないが、ゆったりと移動しながらの旅は「線」の楽しみとなる。
「線」の旅は、地方の食文化や歴史に、数多く触れる事ができる。
私はいわば「旅」を仕事としているから言うわけではないが、絶対に「点」より「線」がいい。
それだけ、トラブルも多いかもしれないが、それ以上に思いがけない事が起きたり、感動する機会も増えるはず。
ロードムービーは、だから面白いのだ。