殺菌力抜群の「皮膚病の湯」
温泉水1kg中に、水素イオン(H⁺)を1mg以上含有している温泉。
多くの場合は、遊離硫化水素(H²S)が含まれ、強い酸性を示す。
殺菌力が非常に高く、肌表面のトラブルの原因を広く取り除くので、「皮膚病の湯」と言われている。
水虫にも効果的だ。
「酸性泉」は、アトピー性皮膚炎の黄色ブドウ球菌の殺菌にいいとされる。
実際に、アトピー性皮膚炎患者の炎症部位を調べると、黄色ブドウ球菌という、有害な細菌が多く存在していることがある。黄色ブドウ球菌は酸性の環境では繁殖が抑えられ、中性~アルカリ性の環境下で増えやすい性質がある。健康肌では皮膚表面が弱酸性であるのに対し、アトピー肌では弱酸性に戻す働きが弱い傾向とされるという。このように、アトピー性皮膚炎は、温泉療法によって改善される可能性が高く、特に「酸性泉」が効果的のようだ。
他に、泉質別適応症には、尋常性乾癬、耐糖能異常(糖尿病)、表皮化膿症とある。
さらに白癬(はくせん)症、トリコモナス膣炎、疥癬(かいせん)等にも効果があるという。
「酸性泉」は、刺激が強いので、肌の弱い人には適さず、「湯あたり」しやすい泉質でもある。
気になる方は、入浴後にシャワーで温泉を洗い流した方がいいだろう。浴用の泉質別禁忌症としては、皮膚又は粘膜の過敏な人、高齢者の皮膚乾燥症(※硫黄泉と同じ)。
これほど、殺菌力が強い泉質ゆえ、飲用の泉質別適応症はない。胃をただれさせる危険性があるからだ。
温泉法改訂前は、飲用の適応症に「慢性消化器病」があったが、どうしても飲用したい場合は、水で薄めてから飲んだ方が無難である。
「酸性泉」~殺菌の湯と、「硫黄泉(硫化水素型)」~美肌の湯の組み合わせの泉質は、名湯と呼ばれる温泉に多い。ただし、効能が強い分、肌への負担も多いという事を覚えておいて欲しい。