「脳卒中の湯」「傷の湯」&蘇生の「美肌の湯」
温泉水1kg中に、溶存物質量(ガス性のものを除く)が1,000mg以上あり、陰イオンの主成分が硫酸イオン(SO₄²⁻)の温泉。
浴用の泉質別適応症は、きりきず、末梢循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚乾燥症となっており、これは「塩化物泉」と同じ。飲用の泉質別適応症は、胆汁の分泌を促進するので、胆道系機能障害、高コレステロール血症、便秘。ちなみに、便秘が飲用の泉質別適応症に入っているのは「硫酸塩泉」「塩化物泉」とだけである。
この泉質は、肌の蘇生を促す(新陳代謝を活性化する)。具体的にはきりきず、火傷、ニキビ、乾癬(かんせん)、かゆみ、慢性湿疹などだ。よって、「硫酸塩泉」も「塩化物泉」と同様「傷の湯」と呼ばれる。
また、「硫酸塩泉」は皮膚の余分な脂分を洗い流す力があるため、オイリースキンの方にも効果が高い。
さらに硫酸イオンは、血液に多くの酸素を送り込む作用と、肌に水分を補給させ、肌に張りと潤いを与えるアンチ・エイジング作用がある。よって「若返りの湯」「美肌の湯」と言われるのだ。
「硫酸塩泉」は、陽イオンの主成分により、ナトリウム-硫酸塩泉、カルシウム-硫酸塩泉、マグネシウム-硫酸塩泉などに分類される。 結びつく成分によりそれぞれに特色があるが、「硫酸塩泉」自体に血管を拡張し血行を促す働きや、コラーゲンの生成を促す蘇生効果(アンチエイジング効果)がある。
(1)ナトリウム-硫酸塩泉(旧泉質名:芒硝(ぼうしょう)泉)
ナトリウムイオンの保温・殺菌作用により、カラダが温まり痛みを和らげ、殺菌する効果がある。さらに、硫酸イオンはコラーゲンの生成を促す蘇生効果(アンチエイジング効果)がある。これら2つの陽イオンと陰イオンが結びつくことにより、「傷の湯」と呼ばれる。
(2) カルシウム-硫酸塩泉(旧泉質名:石膏泉)
カルシウムイオンの鎮静作用が、痛みや炎症を和らげるため、高血圧症や動脈硬化症など、血管系の症状に効果があると言われる。血管のトラブルを防ぐ効果があるので、「脳卒中の湯」とも呼ばれる。
さらに、カルシウムイオンは角質層の形成・再生を促す働きがあり、硫酸イオンは肌の弾力機能を高めて、シワができるのを防ぐ働きがある。これら2つの陽イオンと陰イオンが結びつくことにより、「美肌の湯」と称されるのである。
(3) マグネシウム-硫酸塩泉(旧泉質名:正苦味(しょうくみ)泉)
マグネシウムイオンには、皮膚のバリア機能を強化する働きと、血圧を下げ、痛みを和らげる鎮静作用がある。硫酸イオンは、血管を拡張し血行を促す働きがある。これら2つの陽イオンと陰イオンが結びつくことにより、「脳卒中の湯」と呼ばれる。