ブログ、SNS、YouTube・・・など、全国の温泉宿の訪問記なるものを、たくさん見るようになって久しい。
昭和の時代は、温泉宿を探す手段は、ガイドブックなど紙媒体が主流であった。
平成の時代になると、瞬く間にインターネットが当たり前のツールになり、この令和の時代には、全国の本屋さんが驚くほど数を減らした。
プロの旅行系のライター達が、取材によって紹介していたものは、今でももちろん残っているが、ここ10年で急激に増えたのが、個人の温泉宿の評論記なるレポート記事である。
中でも、YouTubeでは、TVの旅行番組のエッセンスを取り入れ、ベスト10、ワースト10の宿を発表するなど、手の込んだものもよく見かけるようになった。
取材の鉄則は、取材先の承諾を得てからするのが、暗黙の了解なのだが、お金を払って宿泊すれば、何でも撮影して、個人的な感想をネットで拡散しても平気だと思っている方が少なくない。
自分はお客様なのだから、個人的な感想をネットで拡散するのは問題ないと思っていても、それが営業に差し障るほどの悪いクチコミだとしたら、どうだろう。
予防線として「あくまでも個人的な見解」と前置きして紹介しても、実際にそこに泊まった人の意見は、ある程度信ぴょう性があると思ってしまうだろう。
メルカリやヤフオクなどを何度か利用した方は分かるだろうが、購入しようとした時に、販売者の評価をまず見るだろう。
そして、最初に見るのが、悪い評価があるか、ないか。
あまりにも、いい評価に対して、悪い評価が多いと、まず敬遠することが多くなる。
それほど、悪い評価は、目立つし、ひとつの取引をする際の羅針盤となるのだろう。
だからこそ、私は温泉宿さんに言いたいのは、あえて、自分の宿のマイナス点はここですよ。
こういうところは不便です。ですが、逆にそれをあえて残しているのは、こういう理由があるのです。
・・・と、ネットのクチコミを逆手にとって、アピールすべきと思う。
温泉宿にとって、お客様のクチコミは大事だが、その宿のファン、リピーター客のためにも、自らのスタイルを守る、ある意味、理論武装的なものを準備すべきだろう。
悪貨は良貨を駆逐する・・・という諺があるが、悪いクチコミは良いクチコミを駆逐する、と置き換えることもできる。
ネット社会だからこそ、自分の宿に合うお客様に探してもらい、賛成派のお客様が多い、いい雰囲気のコミュニティ的な宿になれば理想だ。
いわゆる「マッチング」が、温泉宿のひとつの生き残り戦略だと思う。
ネットの時代だからこそ、できる可能性が高いのだから。