「温泉分析書」とは、Wikipediaによると、温泉法に定められた温泉の成分、禁忌症及び入浴または飲用上の注意の説明書である・・・とあった。
改めて言うまでもないが、温泉の入浴施設内に掲示が義務付けられているものであり、「温泉の施設」の証明でもある。
私の好きな温泉旅館ホテルの、大浴場の脱衣所でよく見かけるものでもあるが、私は入浴する前にじっくり見てしまうのが常である。
ただ、温泉に相当な愛着を持っている人以外には、あまり興味のないものでもあるが、私にとっては、それはお見合い写真を見るが如く(実際自分はその経験はないが)、温泉に相対する前の一種の高揚感を促すものでもある。
その温泉分析書には、陽イオン、陰イオン、非解離成分・・・などと、化学成分の割合と量を説明しているものであるため、特に物理が苦手な方たちには、まったく興味を示さないものかもしれない。
しかし、それには、その温泉の個性を説明している根拠というか、成り立ちを説明できる理由が記されているのだ。
同じ単純温泉という泉質名でも、その溶存成分により、ひとつひとつ個性がある。
硫黄の香りのするものから、色がつくものもある。
その個性のエビデンスそのものが、温泉分析書にあるという事なのだ。
コロナ禍の少し前から、私は温泉分析書を分かりやすく解説する事を始めた。
そして、最近では英語に翻訳し、さらに分かりやすく図解化を進めている。
観光庁のインバウンド調査の中で、「日本で次回したい事」アンケートで、「温泉入浴」と「旅館に泊まる」という項目が急上昇しているという。
「ショッピング」「景勝地(観光地)を巡る」を差し置いて、1位になった国も出てきた。
外国人旅行者の泊まる施設が、都市型のホテルから、温泉旅館に少しずつシフトしている感があるのだ。
ホテルと温泉宿の明確な違いは何か?
私は「温泉分析書」が有るか、無いかと答えるだろう。