新年早々2012年1月に入って、人気サイト「食べログ」のやらせクチコミについて、新聞やテレビをはじめ各マスコミが大々的に報道するのを見た。
私から言わせると、「今頃なぜ?」という印象。
「食べログ」に限らず、人気クチコミサイトには、やらせクチコミは容易に投稿できる仕組みとなっている。
アカウントを取得するだけだから、そこに正確性、信ぴょう性を求めるのは、物理的にもおかしい話。
ネットマーケティングと称して、やらせクチコミをビジネスとして実施していたのは、何も飲食店ばかりではない。
日本を代表する大手企業も、やっていた時代があった。
今から10数年前、インターネット黎明期の頃。
人々は、PC関連の商品や化粧品など、実際に使ってみないと分からないものは、様々なネット掲示板を閲覧して、購入する手がかりを探っていた。
大手メーカーもそれに着目し、自分の商品に有利なクチコミを流布させるために、広告代理店に依頼し、いわゆるやらせクチコミをその掲示板に投稿していたのも、事実あった。
ネットのない時代、ネットが普及する直前の頃は、大学生であれば、部員のたくさん束ねているリーダー的存在や、女子高校生であれば、人気ファッション雑誌の読者モデルなどに、新商品を提供し、それを周辺の友人などにPRするように働きかけた。
いわゆるカリスマ性のある人、その世代に影響力のある人に、トレンドを作ってもらおうという考えが、新しいマーケティングの手法として使われていた。
しかし、インターネットが普及するにつれ、トレンドを流布させるインフラが、大きく変わった。
それがネットのクチコミであり、それは驚くべきスピードで情報が広がっていくことに当時は誰もが驚いていた。
今回のやらせクチコミ投稿報道は、私から言わせれば、大きな事件のない時の「暇ネタ」みたいなもので、業界の人間であれば、暗黙の了解的なものだったようにも思える。
私の現在の仕事に関連すれば、宿泊施設に対しても、やらせクチコミの営業をする会社が存在していることは知っていた。
テレビで、大手の宿泊予約サイトでは、実際に予約して宿泊しないとクチコミが投稿できないなどと、解説している事情通?を見かけた。
笑った。
そんなことはない。
じゃらんnetでも、やらせクチコミの投稿など簡単。
宿泊施設もグルになれば、何でもできてしまうからだ。
こんな報道がされる前から、ずっと前から、私は予約サイトなどの、温泉宿のクチコミは信じないほうが無難だと言ってきた。
理由のひとつはこうだ。
年に数回しか行かない、もしくは数年に1回しか行かない人たちの情報は、いわば素人の噂話。
宿の経営者の意図を知らずに、自分だけの今までの知識や経験だけ評論している。
しかも、「ウラ」を取らずに、限定口調で投稿する。
私の主宰している「貸切温泉どっとこむ」は、現在クチコミ情報の募集はしているが、それをそのまま自動的にはアップしていない。
主役はあくまでも、専門家の目で見る、宿の正確な情報であり、どこよりも詳しい宿泊レポートだと思っている。
そのアシストには、とにかくたくさんの画像も用意してある。
それによって、自分の力で、「自分に合う宿」であるかどうか判断してほしいのだ。
それに私は、温泉宿が好きだ。
その宿泊レポートには、愛があると思ってほしい。
単なる大容量の情報だけではない。
今まで、正直に書きすぎて、温泉宿からお叱りを受けたことも多々ある。
特に温泉の使用状況などの情報。
そのまま、書いたら、載せなくてもいいと圧力をかけられた事も。
もちろん、私はそんな宿は載せなくてもいいと思っている。
人気宿に、そんな事が多いのが残念なことだが。
だからこそ「貸切温泉どっとこむ」に掲載している宿は、私の「徹底した情報公開」という取材方針に賛同していただいているところばかり。
しかし、そうでなくなった宿は、どんどん削除していく方針。
そんなサイトがある事を、ぜひ知っていただきたい。