先に、温泉源から採取される温度(25℃以上)の条件と、19の物質のひとつでも入っていれば・・・という条件のいずれかがクリアされれば「温泉」であると述べた。「温泉法」という法律によるものである。
しかし、「温泉」と似た様な単語の「鉱泉」とは、何なのだろうか?
現在、環境省のHPに掲載されている「鉱泉分析法指針」を見ると、細部に渡って分類しているが分かる。
そこには、「鉱泉」の定義として、「地中から湧出する温水および鉱水の泉水で、多量の固形物質、またはガス状物質、もしくは特殊な物質を含むか、あるいは泉温が、源泉周囲の年間平均気温より常に著しく高いもの」と謳っている。
これだけ見れば、温泉=鉱泉となる。
しかし、「鉱泉」は、泉温によって分類している。
25℃未満の場合は、冷鉱泉。
25℃以上34℃未満は、低温泉。
34℃以上42℃未満は、温泉。
42℃以上は、高温泉となる。
「温泉法」でいう「温泉」の定義は25℃以上。
しかし、「鉱泉分析法指針」によると、34℃以上42℃未満となるから、いささかややこしくなる。
また、液性の分類というのもある。
pH(ペーハー)3未満は、酸性。
pH3以上6未満は、弱酸性。
pH6以上7.5未満は、中性。
pH7.5以上8.5未満は、弱アルカリ性。
pH8.5以上は、アルカリ性となる。
「鉱泉分析法指針」によれば、その「温泉」の中でも、もうひとつ上のグレードとも言える「療養泉」という定義が存在する。
源泉から摂取される時の温度が、25℃以上。
そして下記の物質のうち、ひとつでもクリアしていれば「療養泉」となるのだ。
溶存物質(ガス性のものを除く)・・・・・・・・総量1,000mg以上
遊離二酸化炭素・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1,000mg以上
銅イオン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1mg以上
総鉄イオン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20mg以上
アルミニウムイオン・・・・・・・・・・・・・・・・・・100mg以上
水素イオン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1mg以上
総硫黄・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2mg以上
ラドン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30(100億分の1キュリー単位)以上
そしてこの「療養泉」のみ、泉質名が付けられる。
物質条件は8項目あるが、これがいわゆる泉質名を決める根拠となるのだ。
また視点を変えると、「療養泉」に成りえなかった「温泉」も存在することになる。
つまり、「泉質名を持たない温泉」もあるということなのだ。
その場合、泉質名を「その他の温泉」「温泉法上の温泉」と表記するところもあるようだ。
このように、「温泉法」と、環境省による「鉱泉分析法指針」という、2つの”法則”があるため、非常に分かりにくいところがあるのは否めない。
また、「温泉法」は、非常に”ユルイ”規定となったため、ほとんど真水と変わらない「温泉」が、数多く日本に登場することになった。
日本全国、どこでも旅行と言えば「温泉」を求める日本人という国民性が、この法律を誕生させたのだと、容易に想像できるのだ。