私がこのブログで、たぶん一番多く書いているテーマが、国内の宿泊施設のエージェント依存度問題。
じゃらんnet、楽天トラベルなどの予約サイトには、特に依存率が年々高まっている。
様々な宿泊プランを考えたりしながら、ライバル宿の動向を見つつ、いかに予約サイトで目立つように頑張っている宿が多い。
何度も言うが、それはリクルートや楽天トラベルによる“洗脳”によるもの。
じゃらんnetで予約が入るのは、マヤカシであり幻想。
え?実際に予約が来てるって?
それじゃ、ヤフーやグーグルで、宿の名前を検索してください。
宿の公式HPの上や右横に、エージェントの広告が載っていませんか?
これは、彼ら(エージェント)がお金を払ってまで、その宿のお客を横取りしようとしている確固たる証拠!
予約サイトに払う手数料は、あくまで、じゃらんや楽天のトップページから、地域や日程など様々な条件を入力して、宿がリストアップされ、そこから選ばれ、予約が完了したら払うべきもの。
検索連動型広告を駆使した、いわゆる「待ち伏せ広告」なのである!
宿の公式HPは、アクセスログを検証すると、90%以上の人が「宿の名前」で検索してくる。
それを知っていて、エージェントは待ち伏せをするのである。
なぜ、彼らはお金を払ってまで、その広告を出すか?
そうしなければ、お客が予約サイトを利用しなくなるから。
利用されなければ、じゃらんnetや楽天トラベルは契約を切られる。
それがエージェントは何よりも怖いのである。
では、今回のテーマの「勇気と決断」。
少し仰々しくなったが、つまりは、今こそ「脱・エージェント」に、経営方針をシフトすべきなのである。
それはその宿自体の「個性の創出」。
金太郎飴みたいな無個性な宿は、いずれ淘汰される。
値引き競争に巻き込まれる。
考えてみてほしい。
TOYOTAは、全世界のユーザー相手に商品(クルマ)を開発している。
旅館も同じ、日本のみならず、海外のお客も視野に入れているところも多い。
マーケティングの大きな違いは、TOYOTAのクルマはある程度ターゲット層をはっきりさせているが、旅館は、そのへんが曖昧になっているところだ。
そのへんの事を考えれば、10室前後の小規模な宿は、ターゲット層を決めやすい。
ところが、30室以上の宿ともなると、難しくなる。
週末は満室でも、平日がきつくなる。
でも、家族もOK、団体もOK、そして、お二人様もOK・・・とHPで訴えても、八方美人的な印象で、結局、何の魅力も感じなくなる。
それでも、そのエリア(温泉地)で、どこもしていないサービスを考えれば、貴重なアドバンテージとなる。
周囲の目など気にしない、「勇気と決断」がここで必要となってくるのだ。
それでは、どんなサービスを考えればいいか?
これに関しては、経営者の才覚によるもの。
自分自身に持ち合わせてなければ、外部の人間(コンサルタント)に頼むのも一案だが、そのアイディアを鵜呑みにして採用するかどうかは、やはり経営者の決断になる。
繁盛している宿の社長の講演を聞くのもいいが、その宿と同じことをやっても、おそらく効果は期待できない。
繁盛宿になるには、人と同じように、処方箋がそれぞれ違うからだ。
セミナーの講師をしている宿の社長は、それだけで宿がブランド化され、同じ業界の人たちが泊まりに来る。
莫大な費用をかけてネット広告を出している宿をまねてやってもダメ。
お金ばかりかかって、成果は期待できない。
その宿の広告費用は、その宿の営業利益からねん出しているものではない。
裏にはウラがあるという事。
一番確実なのは、「自分が泊まりたいな」と思う宿を作る事。
簡単そうで難しいテーマ。
しかし、背伸びしない、無理をしない事も、失敗しない個性作りができるのだ。
私は最近「貸切温泉どっとこむ」の取材をしながら、25年間、大企業相手に販売促進の企画書を書いてきた経験から、ネットによるマーケティングを宿に伝授している。
取材者としてより、旅行者としてのキャリアが長い事も、今の私の仕事に役立っている。
泊まりがけの取材だからこそ、できることなのだが、私も同じ経営者。
できれば、何かの縁で取材に訪れた宿。
繁盛してほしい一心で、できるだけの協力を惜しまないつもりだ。
「大竹さんの取材は、普通の取材じゃないね。今まで気がつかなかった事を指摘してくれて、販売促進のヒントをたくさん教えてくれる。今まで付き合っていた高額な費用が発生していたコンサルタント以上に役立ったよ。」
・・・ある宿の社長から。これほど嬉しい言葉はない。
家庭を顧みず、旅をしている甲斐があるというものだ(笑)。