最近、温泉旅館のリニューアルを相談されると、ぜひ、カフェを増設したらいかが・・・と答えるようにしている。
通常、温泉旅館は、山深い田舎にあるイメージ。
反対に、カフェと聞けば、都会的な連想を誰もがするだろう。
でも、このミスマッチが、日本的で、しかも相性がいい。
昔で言えば、パンに餡子を入れたアンパンみたいなものか。
理由は、色々とある。
まず、カフェは宿に隣接しているか、宿の中にあっても、抵抗なく入りやすいエントランスである事が条件だが、これが、様々ないい影響を宿に及ぼす。
チェックインの早いお客に、コーヒーを出せるし、それより地元の人にも重宝されるはずだ。
定食屋や蕎麦屋しかない温泉地なら、なおさらだ。
そんな事よりも、バラエティ溢れる「宿泊プラン」を考えられる事が大きい。
例えば、朝の苦手な若い人に評判のよくない朝8時頃の朝ごはん。
これを、チェックアウトぎりぎりまで部屋で寝て、アウト後にカフェでブランチというプラン。
カフェを夜遅くまで営業している場合、金曜日の夜10時にカフェで遅い晩ごはんをいただき、それからチェックイン。
それなら、金曜日のミッドナイトチェックインでスタートする連泊プランも設定できる。
夕食を、通常の和食懐石ではなく、いわゆる「カフェめし」にする宿泊プランも面白い。
これも連泊客にもアピールできるし、最近増えてきた「お一人様」客にもいいだろう。
話は変わるが、カフェと言えばコーヒー。
コーヒー(もちろんブラックの場合)は、最近の研究によれば、糖尿病の発症を抑える効果があるとの事。
生活習慣病対策に、温泉入浴とのセットも相性がいいのだ。
また、コーヒーは、赤ワインのように、ポリフェノールが含まれているため、活性酸素を除去し、過酸化脂質の発生を抑えてくれる。
さらに、抗酸化作用を持つ物質として、心筋梗塞の予防効果もあるとの研究結果もある。
赤ワインを大量に飲むフランス人が、心臓や血管関連の疾患で亡くなる率が低いのも、血管を拡張させ、血液の循環を良くするポリフェノールの効果だと言われている。
温泉も、皆さんご存知のように、健康にいいもの。
浴用、飲用ともに、温泉は、ストレス除去や疲労回復、美肌効果など、効能は多岐に渡る。
まさに「カフェ湯治」。
面倒な自炊道具を持参しての昔ながらの湯治ではなく、これこそ、今風、現代版湯治のカタチと言えるだろう。
「カフェ+温泉宿」は、相性がいいと言ったが、「コーヒー+温泉」も、もちろんベストマッチなのだ。