「HHH(スリーエイチ)戦略」というワードを、お聞きになった事はあるでしょうか。
これは2014年に、Google、YouTubeが提案した、いわゆる動画を使ったマーケティング戦略という意味。
ただ、動画の視聴回数が増えても、アクションにつながるとは限らない。
つまり、電話での問い合わせであれ、宿泊予約であれ、コンバージョンしなければ意味がない。
そのコンバージョンにつながりやすい動画設計が、HHH戦略。
それは、Hero(ヒーロー)、Hub(ハブ)、Hygiene(ハイジーン)(※Helpという場合もある)という3つの動画カテゴリの構成からなっている。
業界により、その応用法は違うが、ここでは私が携わっている、温泉旅館さん(宿泊施設)向けの導入法をご案内します。
Hero動画とは、たくさんの人に視聴してもらうための動画で、認知拡大を目的としたもの。
つまり、ヒーローのように、多くの人から支持される動画。
そのためには、ある程度の企画力と映像のクオリティが求められる。
その分、予算(お金)が必要なので、大企業向けと言う人もいる。
Hub動画とは、ハブに“拠点”という意味があるように、ブランドとターゲットを繋ぐもの。
Hero動画を観た視聴者が「次も見てみたい」となった時のがこれ。
自社のターゲットユーザーが関心を持つ可能性が高い情報の動画。
Hygiene(Help)動画は、ターゲットユーザーが持っている課題を解決する動画の事。
Hygiene動画とは衛生学を意味し、動画マーケティングでは、ユーザーを顧客化する事を指すようだ。
また、すでにあるコンテンツを、分かりやすく動画化することも、これに該当する。
さらには、宿公式Webで、宿側自身で発信する料理の献立や、最新情報などを紹介するショート動画も、これにあたる。
Hygiene動画は、HeroやHub動画ほど、映像のクオリティにこだわらなくてもいい。
それよりも、ありのままの宿の姿を紹介するほうが、より親近感が湧き、ファンを増やす事ができる。
その内容としては・・・季節の移ろいが分かる動画、宿へのアクセス、予約方法、宿泊者の声・・・などがお勧め。
私の会社では、「宿PV」という、宿泊施設のプロモーションビデオを制作している。
そこには、ドローンによる空撮、タイムラプス動画など、一目でその宿のキャラクターが分かるものを1分~90秒の長さで制作している。これが「宿PVプレミアム」。
これを、Hero動画として見ていただきたい。
次に、温泉、客室、周辺情報・・など、細かくテーマを決めて作っているのが「宿PVミニ」。
60秒ほどの尺だが、そこには充分に情報が詰まっている。
これは、Hub動画だろう。
そして、最近話題のVR(バーチャルリアリティ)動画も制作している。
スマホでWebサイトにアクセスした場合、VRゴーグルを目にあてれば、まさにその場にその映像のものが実際にあるように見える。
そのVR動画も、YouTubeは、PCでも対応するようになったのは大きい。
宿側から直接動画を発信できないなら、これをHygiene動画としてもいい。
以上がHHH戦略の概要。
Heroで多くの人々に出会い(集客)、Hubでターゲットとなる視聴者を掴み(ファン化)、Hygieneで問題を解決しコンバージョンを促す(顧客化)。
このような導線を作ることで、かなりの効果が期待できるはず。
Googleによれば、大企業ではすでに実践され、大きな成果をあげているとの事。
しかし、予算が潤沢な大企業だけでなく、小規模な宿泊施設でも充分取り入れることができる。
今、私はこれに無限大の可能性を感じている。
欲しい情報を探し、閲覧できるのがWebサイトとすれば、直感的に情報を自動的にもらうのが動画。
例えれば、“静”がWebサイト、“動”が動画。
言わば、お店がWebで、そのお店を宣伝する営業マンが動画。
ちょっとニュアンスが違うかもしれないが、ニュースを読む(見る)媒体として、“新聞”がWebサイトで、“テレビ”が動画とも言えるだろう。
SEO対策も、キーワード重視の時代から、動画重視の時代に移行しているのも事実。
Webサイト(静)と動画(動)を、バランスよく組み合わせれば、最良のマーケティングが実践できる。
配信イメージとしては、年に1~3回ほどHero動画をアップし、その隙間にHub動画を3~6回ほどアップ。
Hygiene動画は毎月アップするのが理想だろう。
何といっても、YouTubeに何本も動画を載せようが、無料だから。