全国各地を周っていると、温泉宿の経営者の方から、よく質問されるのが、海外からの旅行客を増やす手段の事。
国内なら、公式のWebサイトはもちろん、有力なOTA(ネット予約サイト)を利用するのが一般化しているが、海外に関しては手探りの状態がほとんどかもしれない。
ただし、東京、京都など都市部のほか、富士山周辺、箱根、有馬温泉、由布院など、インバウンドの恩恵を受けているところは、もはやバブルと言っていいほど活況のようだが、最近ではそれが周辺に分散化の様相を少し見せ始めている。それでも、上記エリアに比べれば、本当にまだまだ少ない。
私は、今まで国内に関しては、公式Webを中心に集客し、OTAはあくまでもサブ扱いで利用するといった「脱・エージェント」を標榜してきた。しかし、インバウンドに関しては、海外の有力なOTAを使わざるを得ないというのが、現在の私の考え。
つまり、海外OTAに登録することにより、世界に名前が知れ渡り、そこから多言語化された公式Webへ誘導する流れが、一番の近道と言えるだろう。もちろん、そこにはやはり多言語化されたSNSプロモーションも必要だろう。
さらに、インバウンドの宿への直接予約に関しては、カード事前決済システムの導入は不可欠で、いまやカードが使えない宿には、インバウンドはほとんど来ないと言ってもいい。小規模な宿でも、カード利用をOKにしないと、お客を逃がしてしまう危険性が出てきたわけだ。年々、カード会社の力が強くなってくるのがひしひしと感じる。
海外OTAは、(海外旅行なので)数か月前に予約で部屋を押さえるので、インバウンドに人気のエリアの国内OTAは売り上げをどんどん落としている。じゃらんnetや、楽天トラベルなどの大手OTAでも、焦りを感じているはずだ。
まさに、激動の幕末に、黒船が来航した時に似たり。尊王攘夷ではなく、海外からの力を利用し、新しい技術を導入し、自らの宿の魅力を強化する・・・といった富国強兵が、この時代の賢い宿の生き残り策と思われる。