今更ながら思うが、全国旅をしている私は、すでに何処に行っても、いわゆる“旅情”気分が味わえなくなって久しい。
それもそのはず、仕事で日本中を周っているのだから、当たり前か。
そんな中、昨年に続いて、北海道・十勝で、新人研修合宿を敢行。
私も北海道に取材目的ではなく赴いた。
しかし、何度も感じることだが、北海道は何度来ても、“旅情”気分が、薄まらない。
それは、本州にはない土地の広大さと、冷涼な空気がそうさせるのか・・・。
いつも、この土地に足を踏み入れると、なぜか精神的にリセットさせてくれるような気がする。
元々は移住者で、小さな宿を切り盛りしている若者や、地道に美味しい野菜を作り続けている老夫婦、一人で45日間も道内を旅している香港の大学生など、今年も、新鮮で嬉しい出会いがいくつかあった。
合宿先では、昨年も数日間、同じ宿を共にした、釣り名人の人生の先輩にも、1年ぶりに再会できた。
それと、名古屋からヒッチハイクで北海道まで辿り着き、宿でヘルパーをしている若者にも出会った。
この北海道という大地には、何か人を活性化させる、エネルギーみたいなものがあるように思える。
しかし、そんないいことばかりではない。
私の崇拝する映画界の巨匠、山田洋次監督が、定宿にしていた某・道東の温泉旅館が、ひっそりと売却されていた。
宿の社長が、昨年、体調を崩して、後継者もいなかった事から、廃業に至ったらしい。
「男はつらいよ」「幸福の黄色いハンカチ」「遥かなる山の呼び声」・・・など、北海道ロケの際には、監督が必ず利用していた(プライベートでも)宿が、昨年無くなっていた・・・。
悲しかった。
ここだけでなく、北海道は、小規模の温泉旅館が次々と廃業している。
自然の厳しさとともに、後継者問題、そして一番肝心な営業赤字問題。
温泉旅館がなくなれば、そこが管理していた温泉も消滅するという事なのだ。
これも悲しい。悲しすぎる。
そのような流れを少しでも食い止めるべく、微力ながら、サポートしていこうと、私なりに心に誓った。
また、来るぞ、北海道!