元々、ドキュメンタリー番組が好きだった。
そこには、私の知らない世界の物語があって、しかも、人それぞれ違う考え方、悩み、趣味などが取材者の力によって引き出され、映像を通じて、私に訴えてくる。
私の生きている業界とは全く違うものでも、余計に好奇心を掻き立てられ、画面に引き寄せられていく。
特に海外のテレビ局制作のものは、さらに知らない事ばかり。
人は知らない事がそこにあれば、知りたくなるのも人情。
もちろん、そうならない人もいるだろうが、私は前者だ。
20代前半の頃、温泉旅館に泊まり歩き始めたころ、気が付いたら、どんな人が経営しているのだろうと興味を持つようになった。
時にお気に入りの宿であれば、社長さんや女将さんとお話ししたかった。
感謝の意を含めて。
ここ20年、インターネットで情報を集めるのが当たり前になり、その間、皆さんご存知の予約サイトが登場し、アカウントを取得すれば、地域から、料金も比較でき、気軽に宿泊先が見つけられるようになった。
そこには、宿そのものがある一定の区分けがされ、見方によっては、料金、宿泊プランによって、いかにリーズナブルに、自分にとってお得に泊まれるかといった、選別が始まった。
仕事のため、泊まるだけのビジネスホテルなら、それでいい。
でも、思い出に残るような、記念日に利用したい宿の選別だったらどうか。
宿それぞれに、歴史があり、文化があり、経営者が努力の結晶で培ってきた空気感が、そこにあるはずなのに、予約サイトには、残念ながらそこまでは教えてくれない。
そう、一番大事な「個性」がそこには、表示されていないのだ。
だから私は「貸切温泉どっとこむ」を作った。
予約サイトではない、温泉宿のストーリー紹介サイトを。
ひとつの宿のページは、A4でプリントアウトすれば、70ページを超える場合もある。
「貸切温泉どっとこむ」に掲載されている宿の公式Webを、Googleアナリティクスで検証すると、参照元(リンク元)が、当サイトは1~3位に当たり前のようにランクインしているのがほとんどだ。
その要因のひとつとして、公式Webとは違う「宿泊レポート」のような長文の記事と豊富な画像で、他を圧倒しているからだ。
宿には「個性」が大事と言った。
そう、情報サイトにも言える。
おかげで、「貸切温泉どっとこむ」は、2020年で20周年となる。